通信制苦学記録

大学通信教育課程の史学科でアタフタしてました

日本史史料を読む(‘21)[2021年度2学期履修]

改変前の「日本史史料論」は、史料の種類や機能などの講義でしたが、今年度開始のこの科目は科目名通り「読む」講義。特に日本史入門者ならばセットで受講できた方がいい気がしますが……。

古代担当の田島先生はつい最近(2020年)出た研究をベースに講義をされていたり、近世担当の杉森先生はお馴染み()の京都町方文書ではなく、イエズス会含む切支丹関連のもので講じられており、とても新鮮で興味深いものでした。 

ただし、読解の講義なので、漢文や候文などに多少は馴染みがないとちょっと大変かも知れません。

通信指導と試験はいずれも択一式。個人的には試験の問4みたいなの(実質漢字テストよね、あれ)が各時代毎に1問あれば面白いのに、と思ったりした。一応史学科出てますんで、な成績を取れました(よかった)。

モダニズムの文学と文化(‘21)[2021年度2学期履修]

いわゆるカルチュラル・スタディーズ科目。

ヴァージニア・ウルフの「1910年の12月に、あるいはその頃に、人間の性質が変わった」という謎めいた文章と共に講義は始まるのですが、その後に流れるシェーンベルクの「グレの歌」から「三つの管弦楽小品」への変化は、先のウルフの認識に説得力を持たせる。言うならば、掴みがすげえうまいのである(ちなみにOP・ED・インターミッションの曲もシェーンベルクです)。

前半は音楽から始まり、工業デザイン、文学、詩、バレエ、映画などのモダニズム文化について解説して行く。ちなみに美学・芸術学研究と一部被るところもあるけれど、青山先生のように大ぴらに価値判断はしてはいないですね。

後半は専門であるアメリカ文化を、19世紀後半から1930年代のハイチブームまでを辿るが、それを通じてアメリカの社会問題と「白人男性」的な価値観との関係が立ち上がってくる。

アメリカは歴史がないから」としたり顔で言う人が多いですが、それゆえに広く聴かれてほしい講義(番組)だと思います。

通信指導はWeb提出のみで1000文字まで。3問あるうちの1問選択する形態で、2つが自由度が高く、1つはあるけど予め設定されたキーワード3つを使用して述べるもの。

最初は問1でもあり2でもある「モダニズム文化としての科学技術」だなんてものを述べようかと思ったのですが、書いて行くうちに「なんだこれ」となって、急遽問3に答える始末。大慌てで講義の引用元のベンヤミンとT.S.エリオットのテキストに当たった上でなんとかでっち上げられました。

結果は……Webだと講評はあるけど評価は無いんですね。ただ、内容を十分に咀嚼できているだとか、元テキストに当たっていることを評価されてましたので、◯A相当じゃないのかな。一方でエリートの立場であるエリオットと庶民的立場のベンヤミンとの差異は押さえておこう、とも。

試験はテキスト後半の内容で、キーワードが5つに増えて文字数が800文字に……難易度がかえって高くなっているような(キーワードの初出時はアンダーラインを忘れずに!)。

私は歴史オタクなので編年体で書きましたが、講評にある解説だとそれ以外の書き様もできる模様。

最後にそんな歴史オタクからのちょっとした小技です。800文字でシオドア・ローズヴェルトとフランクリン.D.ローズヴェルトが同時に出る場合、文字数にキレそうになるかと思いますが、そういう時はTR、FDRと略してしまうのが手かと思います。アメリカ史の習いがある方だと何のことか確実に知っているはずですし、実際その表記をして◯A取れましたから。

放送大学大学院修士科目生0.5年目[2021.10〜2022.3]

全科生としての入学を前提とした修士科目生も、思惑通り終了。

入試という一大イベントの印象が強くなりがちでしたが、今期受講科目である「モダニズムの文学と文化」と「日本史史料を読む」はそれに劣らず印象的でした。

それにしても2科目くらいだと記述式の通信指導にガッツリ力入れられたりできるから、ちょうどいいよね。124単位必要な学部の方たちは本当に大変……。

本当なら科目登録期間中に科目の振り返り更新をすべきだったのでしょうが、冬はどうもね……申し訳ない。

初回科目登録と21年度2学期単位認定試験

『研究指導の手引き』をネタに更新しようと思ってたのに、単位認定試験の結果が出てしまっていたでござる。外は寒くてオミってるので、どうもやる気がでないのである。

で、単位認定試験を受けた2科目は無事◯Aで合格。これでコースワーク22単位到達なので、残りは研究指導8単位のみ……なんですけどねえ、上記の手引きだとか一緒に届いた授業科目案内もそうだけど、「アカデミック・スキルズを受けろ圧」がひしひしと感じられてですね。なので1単位余分に取ることにしました。

放送大学のオンライン授業はアカデミック・スキルズがお初となる訳ですけど、印刷教材が無いとか学籍がない人には「開かれていない」以外に放送授業+通信指導+単位認定試験とどう違うのか今ひとつわからない。通信指導はwebな科目もありますし、試験だってCBTになりますし。ただ、授業科目案内やYouTubeの科目紹介を見る限り、コース毎(あるいは指導教員毎?)に課題本が提示されるようで、そのようなきめ細やかな対応が取れるところが最大の違いだったりするのですかね。

ちなみにこの科目なんだか情報がない(レポート書いてない→出した→合格してました、程度)ので、後進たちの参考になるように書けたら書きます(書けなかったらごめんね)。

放送大学大学院修士課程入試受験記(その4)〜まとめと今後

追記(22.2.18)

ロンブー淳がコロナ感染というニュースを見て「そういえば修士取ったんだよな」と。この方紆余曲折の末に大学院に入学されたのですが、大学をすっ飛ばして院は変だと感じる方々が多いようで、結構叩かれてた覚えがあります。

下記で私は学部でディシプリンを養ってからの院進を勧めてますけど、研究計画書が通って、入試で合格できれば、受け入れる先生が研究を遂行する能力があると認めたということなんだから、それでOKなんですよね。

そういう意味では私のアドバイスはあくまで流し見程度でいいかもね。

[本文]

長ったらしいおじさん構文を散々読ませてしまった訳ですが、最後に思ったことをまとめてみます。

研究計画書や試験などの対策についてですが、どの先生も仰られてますが、研究分野の基礎知識(語学含む)があることが大前提。そして青山先生が仰るように、学部で同一分野について卒論を書くのが一番の対策なのではないだろうかと思います。

教員の指導方針と方法等 | 放送大学 - BSテレビ・ラジオで学ぶ通信制大学

また法経などのように卒論を書かずに卒業できてしまう学部学科がありますが、進学前提ならば書くべきでしょう。

逆に上記を満たしていれば、予備校などのような対策らしい対策は特に必要ないような気がします。

あえて挙げるとすれば英語と知識の経年劣化対策ですかね。後者については学術雑誌の論文や書評(歴史学なら『回顧と展望』)、そしてSNSの出版社や学会、新刊情報収集系アカウントなどで情報を集めて実際に手に取ってみるだけでも大分違うかも。もっとも新しい学説が正しいとは必ずとは言えなかったり、そもそもその前提となる学説をも知る必要もあるので、自分の分野にまつわる定番書を読むのも必要でしょう。そしてそれは概説書や新書、研究書、そして論文などの参考文献欄や注から引き出せます。

個人的な課題としては、コミュニケーション能力ですかね。

面接での近藤先生とのやりとりから、「予期していない質問に答える」能力が全然足りないことを痛感しました。

一番最初の記事で述べた「大学院も通信はなあ」というのも、この辺の能力を鍛える機会がどうしても少ないからなんですよね。月1か2のゼミプラス個別指導と、学部時代に比べれば発話と批判の機会は増えはしますけど……。

さて、今までは年報スタイルっぽい修士課程についての記事でしたが、今後は「更新することができたらする」感じになります。次は中頃に届くらしいお手紙についてですかね。

という訳で、また今度。

放送大学大学院修士課程入試受験記(その3)〜第2次選考

続き記事が書けてよかったね。

 

第1次選考結果について

1次選考結果ですが、封筒を受け取った瞬間に「ああ合格ね」となる分厚さでした。

A4用紙が計10枚で、1枚が結果通知書で、1枚がミーティングのURLやパスワードなど。残りは全てZOOMの使い方やトライアル接続の案内。多分通常の面接諮問だと2、3枚くらいで済んでそうな感じ。まったくコロナって奴は。

本来第2次選考は千葉の放送大学本部だか千葉学習センターだかで面接諮問を受けるというものですが、デルタ株が現れた辺りの時期にZOOMでの開催に変更されました。第2次選考の時期は11月半ばですから、結果的に取り越し苦労とも言えそうではありますが、まあ先のことは分かりませんし。

 

トライアル接続

トライアルは、11/3の午前午後に行われるガイダンス方式と、平日(祝日含む)の9:30から17:45の間に行われる職員との対話方式の接続テストとがありました。労働者だと実質11/3しかチャンスがないのはどうなのかと。

結論から言うと、インターネットに慣れてないとかでない限りはガイダンスはYouTube配信で確認して、職員とのテストのみでいいかと思います。

ちなみに私の環境ですが、FireHD10PLUS(2021年モデル)にEarPods with 3.5mm Headphone Plug というチープな構成。ですが、これで必要十分でありました。

 

第2次選考当日

人文学プログラムは11月14日(日)とあらかじめ決まっており、合格通知書で面接時間(集合時間はその5分前)が判明します。

ちなみに人様にお見せできない自宅なため、テレワークボックスで受験しました。こちらの方が騒音や来客などのトラブルもないだろうし。

集合時間ちょうどに入室。試験は受験票にある時間からかと思いきや、いきなり開始でした。面接時間は10分とのことでしたが、本来待機時間であった5分も含めて14分かかりました。多分他の方もそんな調子だったのかも。

面接官は、1人は予想通り杉森先生。もう1人は……ちょっとびっくり近藤先生。要するに歴史学で固められた陣容でして、合格後杉森ゼミなのはこの時点で確定と見ていいでしょう。ただし、指導教員なのか指導責任者(実際の指導は客員)となるかは、4月になってからではありますが。

さて、面接諮問ですが、

・研究計画についての説明

・卒論概要

・卒論の指導教員について

ここまでが主査の杉森先生(ちなみに研究計画書の参考文献欄の件は何も言われず)。

そして副査の近藤先生から

・この修士論文を書くことで何を成し遂げたいのか

いやーこれね、しどろもどろの解答になっちゃいまして。後になって「ああ言えばよかった」ばかりでしたよ。そこでビシッと答えられればよかったのですけど、即興が苦手な質でして……そういうのも研究者に必要な素質なのかも知れません。

試験後ですが、「これは落ちたな」とか「エグいわー」などというダウナーな感じはなく、むしろ「ダメならダメでままええわ」とスッキリとした感情が残りました。

 

第2次選考選考結果

選考結果は12月17日発送の18日着。大体1ヶ月くらいかかりますが、その間はやっぱりソワソワしますね。

配達日の朝は胃カメラを飲みに行っていて、その帰宅時に不在票が。再配達をお願いして14時過ぎくらいに受けとりました。

多分合否によって封筒のサイズが違うんじゃないかと思います。私はデカいやつでした。

内容物は合格通知書とホチキス留めされた入学までの今後のスケジュールと学費や入学手続きに関する諸注意。枚数は5枚くらいかつ折曲げてないので第1次選考結果ほど分厚くはないです。

なお諸注意には選科・専科生に関係するものもあり、「22年度1学期入学の選科・専科生に出願し合格すると全科生の合格は取り消される」や「専科生で22年度1学期にも学籍がある場合は2月に退学届を提出すること」などとあります。前者はそういないとは思いますが、後者に該当する方は結構いそうな感じですね。もし専科生に以前から秋入学していて、全科受験をするが学籍を継続したいという人は、再入学の時に一旦選科生になりましょう(ちなみに私もこのパターンで、今は選科生です)。

ところで近藤先生とは、夏に歴史学ゼミ合同での合宿があるらしく、合格していた場合そこでまたお話しする機会があるが知れません。それまでに研究についてまともに話せるようになっとかねばなあ。

放送大学大学院修士課程入試受験記(その2)〜第1次選考

すでに専科生として在籍していた訳ですが、全科生となると入試があります。ですので、それを見越した対策も並行して行っていました……と言いつつ普段の読書の延長程度ですが。それでも、特に歴史学で受験される方への参考になれば。

 

対策

放送大学大学院の歴史系科目は言うに及ばず、法政通信卒業後も日本近代史についての本(一般書のみならず研究書も)や論文を読んではいました。それに加えてディシプリン本やメタヒストリー本も意識的に読みました(たまたま新刊として出たから手に取ったのも含む)。列挙すればこんな感じでしょうか。

・今井登志喜『歴史学研究法』(法政の頃ざっと読んではいたが)

色川大吉『定本 歴史の方法』

・斉藤孝『歴史と歴史学

・遅塚忠躬『史学概論』

福井憲彦歴史学入門 新版』

成田龍一『方法としての史学史

安丸良夫『<方法>としての思想史』

歴史学研究会編『歴史学のアクチュアリティ』

・Hunt, Lynn “ History:why it matters ”(の2章途中まで。受験後和訳を通読)

リン・ハント本はすでに和訳があるのに原著を読んでみました。和訳がどうのこうのという話があるようですが、それよりも英語の対策という意味合いでそうしました。読める読めないの次元ではなく、とにかく英文に慣れておかないとならないので(あわよくば問題に引用されていればという下心もあり)。

「もっと簡単なものから読んだら」と言われそうですが、レベルは低くとも興味のない文章を読み続けなければならないのは苦痛でしかありませんから。

なおその他の英語の対策は、文法書を何ページか眺めて積んだくらいですね(根性なし)。

 

受験

22年度の第1次選考試験日は10月2日(土)。この日は台風16号の影響が危ぶまれましたが、当日は快晴で、試験は無事開催されました。

私の所属希望(というか修士選科生・専科生を通じての所属)学習センターは東京文京学習センターで、そこで受験と相成りました。

9時集合で8時55分ごろに受験会場への入室開始。試験開始まで試験や今後の日程についての説明後、問題用紙と解答用紙、そして下書き用紙が配布(いずれも持ち帰り不可)。

この会場での人文学プログラム受験者数は30名くらいでしたが、うち欠席者が2、3人くらいいたかな(ちなみに同じ講義室に自然環境科学の3人が放り込まれていました)。プログラムの定員が90人ですから、その1/3……その上たとえ定員に満たなくても、受験者に研究能力がないと看做されたり、あるいは指導できる教員がいなければ、ばっさりと切る姿勢ですから、この中で何人生き残れるのやら、と背筋が凍りました。

試験時間は120分間で、開始60分(45分だったかも)後以降途中退室可。9時30分開始のはずが、人文学の会場では事情があり34分から開始となりました。

 

人文学プログラムの試験問題について

さて、肝心の試験問題ですがHPにある過去問を読んでください……ってそれじゃいくらなんでもなので、言及される方がいらっしゃらない人文学プログラムに絞って私見を。

人文学プログラムの大問題1(小論文)は、全体的に研究テーマについて(また)説明させるものが多い傾向です。出題が毎年変わる歴史学と、自身の研究を提示されているキーワードを織り交ぜつつ説明させる人類学・比較文化以外は事前に研究計画書を読み直すくらいで大丈夫そうに見えます。

歴史学については、史学科卒や政治学、経済史他広義の歴史に関する指導を受けた経験かあり、かつ自分自身のテーマで取り扱う時代についてきちんと把握できていたら、ノー勉でもまあ書けないこともないんじゃないでしょうか。

逆を言えば、学部の時に史学科でなかったり、他学科で歴史を取り扱う分野のゼミや卒業論文指導などを受けていなかったりだとか、あるいは歴史学を学んだ経験はあっても、時代や地域を変えたりするなどといった場合だと受験勉強の際に、取り扱う時代の通史の把握と、補助線あるいは問題の意味を理解するために歴史学理論の学習をしっかりと行う必要があるかと思います。

なお私の解答ですが、私淑する松沢裕作の民権運動観と、牧原憲夫の『客分と国民のあいだ』とをごった煮にしたような解答となってしまった感があります。だけど、この御二方の影響が強すぎる(特に松沢さんについては、岩波講座論文が今のテーマの入口だった)のだから仕方がないだろ、と開き直りしました。

続いて大問題2(英語)ですが……「あれ?」が第一印象でした。昨年までは「記号で答えよ」な小問題がいくつかある形式だったのが、今年は「要旨を200文字程度でまとめよ」でしたから。択一だと当てずっぽうでも正答できてしまうので、読解力(文章のどの点を重視したのかも含めて)をより正確に見極めようとする方向へと舵を切ったのでしょうか。その意味では難易度は高くなったのかな、と(そうでなくともガッツリと足切りしてるのにね)。

内容は脳科学についての文章で、人間の生存メカニズムにおける"rejection"の機能についてでした。

ちなみに学生募集要項によると、得点配分は70:30だそうですが、それプラス専門分野で基準点に満たない場合不合格となるとあります。となれば、英語は捨てて専門分野だけで勝負というのも、英語を使わない分野であればありだったりするのか?と思ったり。ただ、二次選考の配点が、筆記と面接で50:50ですから、やっぱりできるに越したことはないようですね。

さて、私の解答の流れですが、まず大問題1の初めの部分だけ書いておいて、大問題2を先にやっつけてしまいました。苦手から潰してしまおうという魂胆です。こちらの文字数は升目入り答案用紙(表裏で800文字)の200と書いてある行までは書いたので180から190数文字くらいですかね。ちなみに辞書の出番はキーフレーズだと思った"rejection"のみとかなりの幸運。それを終わらせて大問題1の続きを書きました。こちらは1000文字以上1200文字以下という指定で1100文字台だったと思います。

ざっと読み直して11時過ぎに退室しました。居座っても仕方がないしね。

 

さて、10月29日に簡易書留で発送され、10月30日に届いた結果は……ZOOMでやるせいなのか、封筒が分厚かったですね。

というわけで次回に続く。