通信制苦学記録

大学通信教育課程の史学科でアタフタしてます

内燃機関の歴史[富塚清 著・三栄書房]

お断り:元々、前blogに2013年4月21日投稿した記事の転載です。また、しばらくの間、前blogからの転載を行います。
 
 いい本だけど、手をつけてもらえないと言うパターン。
 
 職場に転がっている本であります(元上司が資料として持ってきたけど、残念ながら業務にあまり関係がない)。それ故手元にないので欲しいのだけど、Amazonじゃとんでもない額なんだよね。
 前述の通り、業務と関係がないし、こう言う機械とは縁のない人ばかりなので、誰も手をつけ無い。一方読んだ僕はいい本だと言ってはいるのだけど。
 今回は、「どういいのか?」と聞かれた時用の台本みたいなものですw
 
内燃機関や機械の知識の無い人は、頻繁に出てくる図面や専門用語に面食らうかもしれないが、閉じてしまう前に第5章だけでも読もう。
 この本に貫かれている哲学は第5章に詰まっている。それは「失敗から学べ」。当たり前だろ、と突っ込まれそうだが、果たしてそれを実践できているのか、そして、それができる体制なのか。
 
 いいアイデアだと思ってやってみたら失敗して、それをベテランに話したら、「実はね……」と言うパターン。そうした「ばかのくり返し」による無駄な労力を使わないためにも必要なはずではある。ところが、面子を重視する東アジア文化圏ゆえか、どうしても失敗を隠してしまったり、あるいは伝承されなかったりして、例のパターンが繰り返される。
 しかし、ただ漫然と失敗の記録を残すだけでなく、きちんと原因究明をしなければ意味が無い。
 
 今内燃機関と言えばガソリンとディーゼルのレシプロ機関、そしてジェットやガスと言ったタービンを回すものと大別できようか。しかし、この本はそれらと同じ位失敗に終わった機関について語られている。普及したものと、そうではないもの、その差を考えながら読むといいだろう。
 
 著者の専門であった2サイクルエンジンに項が割かれているのが、今の目では欠点かも知れないが(死に絶えることは無いだろうけど)、しかし、点火プラグのブリッジ発生原因の考察から今でも学べるものがあるのではないかと。ちなみに、それの解決策は非常に「シンプル」。このフレーズもこの本の内容、そして成功と失敗を分けたものの差に気付くためのキーワードである。

 

※2013年12月5日追記
 個人的に、本田宗一郎と言う人は、4サイクルエンジンの発明者オットーと似ているところが多いように感じます。また、この御両人は科学者と技術者、そして技能者との違いについても考えさせられます(日本では特に技術と技能の境目がどうも曖昧に見える)。
 その辺のお話もいつかできれば。